2012年03月17日

なぜ、教師は世間知らずと言われるのか〜その2

たびたび思い出すことに、大学時代のある先生の講義で

「先生と乞食は三日やったら辞められないと言います」

と言われたことです。

思い出すたびに、この言葉が頭の中をグルグル回ります。

いろいろ考えてみるなかに、楽をしようと思えばできてしまう仕事というのが浮かびます。

授業は自分の教科だけですから、何回も同じことを繰り返すことになります。
繰り返すたびに、何か進歩を考えていくかどうかは本人次第です。
校務分掌はなるべく少なくなるような努力をする。

と、徹底した省エネを考えていくと、かなり楽なのかも知れない。

実際、そのようにやると、毎年同じようなパターンの繰り返しになり、何が変わるのかと言えば、自分が歳をとるだけとなります。

しかし、これは非常に危険なパターンと思います。
それは、脳に刺激がなくなって、歳だけ経るからです。

さらによくないのは、いつの間にか歳をとって、何か偉くなったと錯覚する。

企業では、こういう生活はないだろうと思います。

新卒の時も、歳をとってからも同じことをやっているというのは、他の職ではあまりないのではと思うのです。

と考えてくると、先生になった動機が大切と思います。

先生と言えばデモシカと酷評された時代がありましたが、特に強い動機もなくなってしまった場合、それこそ親方日の丸で、他の民間企業からみたら呑気に見えるのかも知れません。

私の知っている美術の先生は、絵が好きで先生になったという人がいます。
この人は準備室へ行くと、いつも絵を描いていました。

池田満寿夫氏の講演を聞いた時、絵を描いて生活ができる人は、日本中で100人ぐらいだろうということでした。

絵に限らず、芸術家は生活が不安定です。
それで、先生になる。

こういう人は、先生になったのがゴールではないですから、毎日何かを求めるものがある。
学ぶことに貪欲である。遠い先のゴールを目指しているということで、歳をとっても青春という気がします。

私が一番気になるというか、限界を感じる人は、一言でいえば何でも全てがわかっているようなつもりでいる人です。

もちろん、人間、全てがわかるということなどあり得ないと思います。
しかし、そのような口ぶりになる。そして、決まって上から目線の言葉遣いです。

誰かが教えを乞いにきたのなら別ですが、そうでもないのに「オレが教えてやる」という態度をとられたら。

jinkochino.jpg
「何で、オマエにオレが教わらなきゃならないの?」

という気になります。

そして、こういう態度が聞く側にとってはカチンとくるらしいようです。

それで

「何にもわかっていないクセに、偉そうに」

と口に出してこそ言わないものの、大変印象がよくないと思うのです。

先生は、職業が上から目線が習慣になっているせいか、つい学校外でもそうなるところが教師は世間知らずと言われる所以の一つかも知れません。

私は人の脳をCPUに例えたりして話をしますが、今、自分のいる地点からどこかへ行こうとすると時、方向はいくつあるかを考えてみたいと思います。

簡単な模型ではビットの少ないマイクロコンピュータしか積んでいないので、例えばそれが2ビットだとしますと、方向は前後左右の4通りしかないわけです。

つまり、この模型にとっては、全ての方向と言っても前後左右の4方向で全てなわけです。

だから、こういうマイクロコンピュータとやり取りをしても、コンピュータ側では前後左右の4つの方向だけで、オレは全ての方向を知っているということになるわけです。

コノコンピュータにすれば、モノが言えるとしたら

「オレは全ての方向を知っているぞ、前後左右、それ以外あるわけないだろう?」

と言うでしょう。

私が言いたいのは、似たような思考をする人がいるということです。

本来なら方向は無限にあります。

しかし、自分から2ビットの壁を作ってしまっているわけです。

これは、養老孟司氏の言うバカの壁と同じではないかと思うのです。

こういう壁を自ら作っているのは、実は大人だけではありません。

私は、いくつか中高のバンドを指導した経験がありますが、高校生になると、なるほど大人に近づいていると感じたということをかつて言いましたが、望ましくない現象として、全てとまではいかなくても、何か世の中がかなりわかったつもりでいるという生徒がいるということです。

大人からすると、生意気に見える感じですが、まさに2ビットで止まっているという感じです。

そして、高校のランク付けはよくないと思いますが、いわゆるAランクの高校ではそういう生徒がいないと感じました。

Aランクの高校の生徒は、中学校では成績がよかったのに謙虚です。

私がこういうのは、人の能力にはそんなに差はないのだが、この壁が邪魔をしていると思うから言うわけです。

別な言い方をすれば、脳というのは、始めは2ビットかも知れないが、それが4ビット、8ビット、16ビット、・・・と変わっていくか否かの違いのように思えるのです。

ある幼稚園で漢字を教えたら、園児たちはひらがなより、漢字の方をよく覚えたという方向がありました。
(具体的に、どういう実践家かはここでは触れません)

それで、私はその話をある先生に伝えたら

「そんな、ひらがなの方が簡単だから、そんなわけはない。だって、ひらがななら、こうかくだけだろう?」

と、彼は「し」の字を書いてみせました。

彼の頭は「そんなわけはない」でシャッターが降りてしまったのです。
つまり、2ビットの壁のようなものです。

そうでなくて

「そんなこと考えられないが、どういうわけだ?・・・間違いじゃないの」

とくれば、2ビットの壁は超えられたのかも知れないと思うのです。

2ビットCPUが使われるうちに、進化して自然に4ビットになるということはあり得ませんが、人の場合は脳細胞、ニューロンが発達して、ビットが増えるという進化があり得ると思うのです。

それが人間の魅力であり、そういう進化があるか否かだけが私は能力の違いの大半を占めているような気がするのです。

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posted by edlwiss at 23:07 | Comment(3) | TrackBack(0) | 教育研究
この記事へのコメント
 今日も素晴らしい記事をありがとうございました。長い長文なのに、論旨の隅々まで感服。ブログではもったいない。こう思うのはサラリーマン根性の所以かも。脱ぎ捨てた殻をまだお尻につけているのが恥ずかしい。
 指導できない生徒さんが居ると、先生は腐ったミカン、腐ったリンゴと思うのかも。そして発達障害と決め付けるのかも。
 すると、認知症の人は発達生涯。障害者も発達障害。言うことを聞かない、やる気ある若い先生も発達障害でしょう。だから私は発達障害と言う言葉が大嫌いです。もっとも何とか障害の言葉は全て嫌いです。何とか症もですが。
 人間、誰もが特徴があります。長所もあれば欠点もある。自分の長所と相手の長所が重なれば指導は簡単かも。しかし、会社は部下を選べません。人事から押し付けられるのが基本。半分は使い易く、半分は言うことを聞かない人になれば御の字。全員が一緒に成果を出さなければ部門はいけません。
 学校の先生が接する職業は、コンビニやレストランや百貨店の売り子さんが多いのかも。それは一般人として社会で生活しているから。
 このようなフロントオフィス業務は人数が居ないと上手く回りません。人海戦術の所も多い。だから軍隊の命令で会社が回っていると誤解するのでしょう。それでは知的作業は回りません。況や、多人数の協調作業の仕事は壊滅です。だからワタミの労働災害事件も起きたのでしょう。
 今日もたくさんの情報や経験談をありがとうございました。
Posted by at 2012年03月18日 04:47
 自分のコメントを読んで、一言、追記したくなりました。今日も複数回のコメント。お許しください。
 学校の先生はノートもパソコンも雑巾も持てないほどの非力の人が多いようですね。いい年の校長や教頭に非力の人が多いように思えます。今の会社では考えられない現象では。
 後ろから、歳若い先生がアタフタと荷物を抱えついてきます。自分の物は自分で持つ。部下のサービスをしてあげる。コーヒー紅茶も自分で入れられません。偉い人はお茶の出し方も忘れたようです。今でも学校は可愛い女性がお茶を出してくれます。
 会社では部下にお茶くみをさせると上司が怒られます。お茶を入れてもらえるのは、社長か会社の重役だけではないでしょうか。
 何故、お茶くみをさせないか。人件費圧縮やお茶代をケチっているのではありません。廊下とんびや金棒引きが怖いからです。パントリーや変な個室は業務時間内は使用禁止です。噂話は百害あって益なし。
 昼休みや休み時間、コーヒーコーナーが代わりに盛況になります。そしてそれが良い情報交換の場所になるからです。詰まらない話で済みませんでした。
Posted by tsuguo-kodera at 2012年03月18日 07:09
tsuguo-kodera さん、今晩は、私も企業に少しいたことがありますが、支社は家庭的だったので、自然に女子社員がお茶を入れていました。

しかし、けじめということで、社内はきちんとしなければいけませんね。

私の方こそ、参考になりました。

これからも、お気づきの点、よろしくお願いします。
Posted by dolce at 2012年03月22日 19:39
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