2012年07月19日

現代日本の病理

musabetusatsujin.jpg反社会的行動が生育歴によるものか、生まれつきの性格(病気?)によるかの見極めは大切である。

生まれつき、脳に何らかの障害があったりして、問題行動を起こす場合は、専門家による治療にゆだねなければならない。

私の経験では、人に危害を加えないまでも、落ち着きがなく、本人も気にしていながらどうしようもないという子どもに接したことがある。

元来、子どもはじっとしていることが苦手で、動き回るのが常であるが、その行動が尋常でないとすると、生まれつき持っているものが原因ではないかと考えてみる必要もある。

私の接した、問題の子どもは、父親のひどいアルコール中毒が影響しているかも知れないという疑いがあった。

教師は子どもを観察するのが仕事でもあるが、こと、人権問題に関わることなので、扱いには十分注意する必要がある。

「みんな幸福ならいじめはない」とは、私が常日頃から思っていることがあるが、異常性によるもの、つまり、病気と言える範疇ののものは、この限りではない。

ただ、問題行動が多いと言うだけで、早まった結論を出さないようにしなければならない。

このことについても、どこか異常のように思われていた子どもが、そうではなかったという例にも遭っている。

その例というのは、小五の男子で、教師に反抗的、団体行動からはずれるなど困った子としてのレッテルを貼られていた。

しかし、実際にその子どもに接すると、私は問題児という感じはしなかった。
確かに、そういう問題行動はあったが、どこか親しみを感じるところのある子どもだったからだ。

原因らしきものは、母親との懇談会でわかった。

母親の言うには、懇談会の度に「お宅の○○君はダメだから・・・・」と、あきらめなさいという口調で何度も言われてきたと言うのだ。

ダメだからと、担任が言うのは信じられないことだが、恐らく、扱いにくいので手を焼いていたからかも知れない。

私は「そんなことはありませんよ。そんな子じゃありません」と話した。

母親は、涙をためていた。

経過は長くなるので割愛するが、結論は、教師への反感に基づく行動であった。
教師不信が根付いていたので、私にも反抗的な態度があった。

私は悪いことは悪いで叱ったが、その子だけ差別を感じることのないように配慮した。
もちろん、よいところは褒めるようにした。

私がその学校を去るとき、退任式が終わって、学校を出ると、その子は「先生!」と言って追っかけてきた。
何か、ドラマのシーンみたいだったが、別れを惜しんでくれたようだった。

無差別殺人

2008年に起こった、秋葉原通り魔事件は多くの人々を震撼させた。

八幡洋・著無差別殺人と妄想性パーソナリティ障害―現代日本の病理に迫るには、加藤智大容疑者の生育歴を追って、事件に至るまでを調査して分析した記事が載っている。

加藤智大容疑者は中学では成績優秀だった。
だが、家庭教育はどこか異様なものだった。

それは、外からはごく普通に見えた家庭も、両親がどのようにして結婚したかとか父親がどこに勤めているかも本人は知らなかった。

母親は一種の教育ママで、学校の成績に関しては異常な関心を持っていた。

成績が悪いと、殴ったりしたようだが、彼が中学三年の時、母親に暴力をふるい、鼻血が出るほど殴ったらしい。

何か歪んだ家庭教育が、彼を凶行に走らせるようにしたと思いがちだが、彼自身の特異な性格も影響しいるように感じられた。

自己顕示欲が強く、自分が優秀な人間であることを宣伝するに余念がなかった。

合唱コンクールでも、自ら進んで指揮者に立候補したのも、自己顕示欲の強さを表していたが、コンクールの結果はひどいものであったらしい。
しかし、彼が指揮者となったのは、反対すると怖いというクラスの生徒たちの思いからだったらしい。

自分をよく見せようとする自己演出には熱心だが、それとは裏腹に、内面は非常に自信のない不安定な心理状態だったらしい。

これらの行動や心から分析すると、自己愛性パーソナリティに属するということだ。

自信家と自己否定が同居し、自信のない分それをカモフラージュしようとする。

事例は、他に土浦通り魔事件佐世保銃乱射事件について取材し言及してある。

教員は一度は読んでおくと参考になると思う。

妄想性パーソナリティ障害

第一部は、事例であるが、第二部は妄想性パーソナリティ障害を多面的に解明する、第三部は五つのサブタイプ第四部は妄想性パーソナリティ障害は治るのかと題して記述してある。

本書は、副題として「現代日本の病理に迫る」とある。

現代はストレス社会と言われる。
日本は先進国中、自殺者がかなり多い。

こういうことも含めて考えると、子どもだけでなく、大人も含めて、病理を生みやすい環境について、もっと関心を持つ必要があると思った。





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posted by edlwiss at 15:44 | Comment(2) | TrackBack(1) | 教育問題
この記事へのコメント
とても わかりやすい 説明というか・・内容ですね。

そして その内容に 心から 共感いたしました。

わたしも こどもたちの行動には
うまれもったもので そうなることと
環境で そうなることが あると おもいますが
この 見極めは むずかしいですね。

ひとりひとりの違いを みとめ 尊重できる
親・・
学校・・
社会・・
で あったほしいと 切に ねがいます。
Posted by 10円まんじゅう at 2012年07月20日 00:55
10円まんじゅう さん、コメントありがとうございました。

この本を読むと、両親の育て方でずいぶん左右されたところもあるような気がします。

母親は完全主義者で、子どもにかなり期待をかけていたようです。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by dolce at 2012年07月20日 12:19
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