2013年01月14日

単語のみに反応する人〜国語力を憂う

シューベルトの歌曲に「美しき水車小屋の娘」という歌曲がある。

原題はドイツ語でDie schöne Müllerinという。

これを「美しき水車小屋の娘」と訳したわけだが、冗談で「美しいのは水車小屋なのか娘なのか?」と言う人がいる。

理屈を言えば「美しき」は「水車小屋」を修飾しているとも「娘」を修飾しているとも言える。

美しいのは水車小屋であって、娘は美しかったのでなかったなどと言って、笑いを買ったりする。

まあ、常識的には娘が美しい(美しき娘)と解釈するが、どちらかわからないと理屈をいう人に対しては、訳を「水車小屋の美しき娘」とすればよいのだが、これだと流れ(響き)がよくないので、あえてそうしなかったと思う。

dokukairyoukutraning.jpgところで、近年、国語力の低下した人が多くなったのかと思うことがある。

それは、文章の修飾関係が理解できず、勝手に解釈して意味を取り違えている者がいるからだ。

文法的に修飾関係を考えず、単語だけに反応しているとみられる。

例えば、

海岸でバカ貝をたくさん獲った。

という文章を見て「バカとは何だ」と「バカ」だけが気になるらしい。

バカに反応して怒る人がいる。

車内にカバンを置きっぱなしにして、大切なデータを盗まれたバカな教師がいた。

とあれば、教師をバカと言っていると怒っている者もいた。

「バカな教師」だけに反応して、自分をバカと言われたと思ったらしい。

日本は貧困率が高い

と書いたら、日本は貧困が多い(高い)と解釈し、怒っていたのも同類だろう。

これらのように、特定の単語のみに反応し、正しく意味を理解しないで怒っている者を見ると「知能が低いのでは」と感じてしまうのは、私だけだろうか?

これは、国語の文章だけの問題ではなく、その者の思考構造(思考回路)から来るものではないかと思うのである。

つまり、思考そのものが狭いのではないかという憂いを抱くのである。

そういう人と話をしていて、果たして、こちらの真意を汲み取ってくれるのかという不安を持つ。

具体的な、文章を介してやりとりをする場合は、解釈が合っているかどうかは確認できるが、話し合いであったり、あうんの呼吸というか言語を介しないでコミュニケーションを考える時、これもまた不安である。

実際、文章を正しく読み取っていない人の対応は、ズレている。

ズレて勝手にあちらの方向に走り出している。

これもまた「知能」を感じてしまうところである。

文章を正しく読めないのに、インテリぶっているのはさらに滑稽である。

真のインテリは、インテリぶらないものだと思う。

単語のみにしか反応しないような思考構造では、およそ、長文の読解は無理である。

いや、長文でなくても、しばしば例に出す次のうたが、全体として何を言いたのかが理解できないようである。

京で一番糸屋の娘
姉は十六妹は十四
諸国大名は弓矢で殺す
糸屋の娘は目で殺す

このように狭い思考力しか持ち得ない人は、学校の教師になってほしくない。

それは、子どもが何を訴えているのかを正しく捉えられないで、芽を潰す可能性があると思うからである。

教師に求められる最低限のことは「芽を潰さない」ことだと思うからである。

これは、自戒を込めての言葉でもある。





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posted by edlwiss at 21:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 教育研究
この記事へのコメント
「まあ、常識的には娘が美しい(美しき娘)と解釈するが、どちらかわからないと理屈をいう人に対しては、訳を「水車小屋の美しき娘」とすればよいのだが、これだと流れ(響き)がよくないので、あえてそうしなかったと思う。」

「京で一番糸屋の娘
姉は十六妹は十四
諸国大名は弓矢で殺す
糸屋の娘は目で殺す」

 いつも良い事例をありがとうございます。

 分かりやすい正しい修飾関係の文章をわざと分かりにくく書くのも商品企画の技でもありました。重役に分からせてしまえます。やりすぎたら馬鹿かと思われてしまいますが、要の文章にはわざと判りにくく書き、質問をさせて、詳しく言葉で補足するのが良い手です。
 七人の侍の、城を守る手、一箇所、弱いところを用意して、そこで攻め手を叩く、を実践していました。
 今日もありがとうございました。



Posted by tsuguo-kodera at 2013年01月15日 04:52
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