2014年02月23日

取引のセンス

私の親は小さな雑貨店をやっていました。
女手一つで、それこそ爪に火を灯すの諺がしっくりするような生活で、私を育ててくれました。
けちでろうそくを買わない、あるいはろうそくも買えないほど貧乏なため、ろうそくの代わりに爪に火をつけて灯りをともすことから。
「爪に火を点す」とも書く。
『尾張(大阪)いろはかるた』の一つ。
故事ことわざ辞典

吹けば飛ぶような田舎の店でしたが、そんな店でも強く心に残っている思い出があります。

金勘定が非常にきちんとしていた親で、締めの日はきちんと清算するために、食事も節約して問屋への支払いをするという親でした。

古い話ですが、日本はオイルショックでトイレットペーパーなど、雑貨があちこちの店でなくなるということがありました。
その困りようはしばしばニュースでも取り上げられました。

ところが、小さな私の店ではトイレットペーパーを切らすことがありませんでした。
問屋が
「今日、商品を持ってきた店は、あなたのところだけですからねえ」
と言っているのを聞いたことがあります。

学校もトイレットペーパーに困り、私は持っていったことがあります。

不思議な店だという評判が広がりました。

私もなぜうちの店がそうなのかわかりませんでしたが、ある時、それがわかりました。

お遣いで問屋に行った時、何のひょうしにその話を聞いたのかは忘れてしまいましたが

「あの店はいいぞ、こんなに勘定のきちんとしている店は珍しいという話をしていましてねえ・・・」

つまり、何かの会議で取引で、この店は大切にしようという話が出たということでした。

その話を聞いてから、私は「商売というのは大きさではないんだ」と知りました。
信用が大切だという、当たり前に普段言うような言葉の重みを知ったわけです。

勘定は1円でもきちんとする。
サービスはサービスであり、けじめをしっかりするということでもあります。

これは、先回の借りた100円返しますか?に通じるところがあります。
だから、私は100円を巡る嫌な思いと言うのがピンと来たわけです。

時々会食をする人たちは、元重役だったり海外勤務も多かった、いわばエリートが多いのですが、足りない100円を出した人は、お金持ちで他人にケチケチするような人ではないですが、多分嫌な気分になっただろうと思うのは、けじめのない態度に対してと想像しました。

他の人たちも、教養ある常識人ですから、その場にいて見た人はすぐにそのセンスを感じたわけです。

こういうセンスがわからない人にとっては「なんだ100円ぐらい」という感覚しかもてないのかも知れません。

大きいのは、このような付き合いの中で「あの人とはこれからもお付き合いしたい」とか「あの人はごめんだ」という感情が湧いてくるのだろうと思います。

日常生活の中で、こういった勉強のできるところはよくあります。

懇意にしているパソコンショップで、店員が客と話していましたが、客は何も買わずに帰りました。
客が店を出たあと、店員が怒っていました。
値段交渉の時、客が「消費税を負けろ」と頑張ったということです。
店員が、負けられませんと言うと、客は、消費税ぐらいわずかだからと頑張ったらしい。
店員は気分を悪くし、断ったわけです。

私は、モノを買うときにはそういう話はしません。
そこには、親が教えるというわけでもなく教えてくれた、昔の商売のことが頭にあるからです。
「いくらか安くはなりますか」
ということを言ったことはあります。

結局、消費税分より安くしてくれたことはよくあります。
その上、メーカーのサービス品もたくさんくれて、店員はニコニコしているということもありました。
店員としては「このお客さんとはこれからもお付き合いしたい」という意思が表れているのです。

ディーラーで車を買ったときも、先にいた客が値段交渉をしている時

「そこまでして売る車じゃありませんから」

と、聞こえてきたことがあります。
これは「お前には売りたくない」と言われているわけです。
そこまで安くできないということではなく「お前のような客はいらない」と言われているようなものです。

親のやっていた小さな店では、子どもが何かを買いにくると「ありがとう」と言って帰っていきました。
田舎では、親たちがそう躾けていたわけです。
つまり「売っていただいて、ありがとう」というわけです。

私もいつしか、その心が身につき売ってもらうときは「ありがとう」という感謝の気持ちが出てきます。
そのせいか、それは店員にも通じているんだと感じる時もあります。

売り手も気分がいいと、この客は大切にしようととして、結局安くしてしまうということもあるわけです。

人間同士、機械的なものの行き来だけでなく心の行き来もあるわけです。

だから、そういうセンスが理解できない人は、貧しいと感じてしまうのです。
金額ではなく、そういう貧しさがいやになるわけです。

お金はあっても、そういうセンスのない人が「成金(なりきん)」と言われるのでしょう。

センス【sense】
1 物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの。「文学的な―がある」「―のよくない服装」「バッティング―」
2 判断力。思慮。良識。「社会人としての―を問われる」
goo辞書

成金(なりきん)
成金とは元々将棋用語で『歩』が敵陣地に入ると『金』に成る(変わる)ことをいう("ときん"とも言う)。前方に一駒進むだけの『歩』が相手陣地に入った途端『王・玉』の次に重要とされる『金』に成る、そんな様から急に金持ちになるという意味でも使われるようになる。このような意味で江戸時代には既に使われている。成金は努力を積み重ねてお金持ちになったというより、宝クジなどで楽にお金を手に入れたというイメージが強い。このことから急にお金持ちになった人を侮蔑する意を含んで使われることが多い。成金は江戸時代から使われている言葉だが、株式市場が暴落〜高騰した1906年、鈴木五郎が株で儲けたことが話題となり、成金という言葉も広く普及した。
また、成金になる要因を頭につけた『土地成金』『自動車成金』『株成金』といった使い方や『成金趣味』『にわか成金』といった言葉もある。
日本語俗語辞書




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posted by edlwiss at 22:04 | Comment(3) | TrackBack(0) | 社会時評
この記事へのコメント
 成金は良い言葉ではないですね。私はと金が好きです。と金のマムシ攻め。(笑)
 論旨賛同です。満足はお金では買えません。むしろ良いサービスで満足はもらえます。良いサービスをしてもらうために、私は最大限努力をしています。
 買う前の笑顔、レジの小母さんへの声掛け、道であったときにも笑って挨拶しています。笑顔はただだから。(笑)
 車を買うとき、あらゆる知識を活用し、営業員に情報を提供しています。最大限のサービスを継続的にもらうためにです。もちろん割引も最大限あるのかも。金額は気にしていません。
Posted by tsuguo-kodera at 2014年02月24日 05:12
tsuguo-kodera様

含蓄のあるお言葉、ありがとうございました。
なるほどと思います。

将棋のプロの対戦を見ると、と金の活躍がすごいと思います。
(羽生名人が飛車をあっさり切ってしまうのもすごいと思って見ています)

人と人とのつきあいは「いいなあ」と思うかどうかだと思います。
「臭い」においには近づきたくありません。
体臭というのは本人はわからないのだろうと思います。
だから「臭い人」からは遠ざかるしかない。

体臭は金勘定、モノの買い方の時出ると思います。
私も「値切る」というのは好きではありませんから、まず値切る交渉はしません。
だからと言って、そういう客をないがしろにする店には行きません。
商売人には商売人の立場がありますから、売る方も買う方もお互いに幸せにになる関係を望んでいます。

NHKの会長の発言が問題になりました。
そこで「個人としての」とか「NHKの責任者としての立場」とか言っていましたが、人間は同じです。
だから、立場は違っても「臭い」を隠しているかいないかの違いで、臭いものは臭いわけです。

たまたま、蓋が外れて臭ったわけです。

私はNHKの会長の臭いが嫌になりました。

どうも、受信料を払うのにためらいが出てしまいました。



Posted by dolce at 2014年02月24日 22:50
 良い情報をありがとうございます。
 当方、妻は目が悪く疲れるため、テレビもパソコンも見られません。携帯メールがやっとこさっとこです。縁のない世界になったようです。
 私は安い日刊紙と情報システムの動向をしるために産業新聞をとっています。加えて、情報システムの動向は管理人様のサイトで十分です。テレビは片づけました。
 おまけに、私は時間がなく、最近は見たい展示会にも博覧会や博物館、美術館にも行けませんので、この村のたくさんの先生の記事を毎日アクセスしています。とても勉強になっています。
 個々のブログにそれぞれの臭いがありますね。管理人様の言った通り、臭いでなく匂いの、数名の管理人様に教えを頂いています。それだけでユーザーニーズは十分に分かるような気がしています。妄想にすぎませんが。(笑)
 でも本音では実力があるから匂いをかげると密かに自負しています。ここだけの話ですが、ネットなら世界に発信ですね。(笑)
 ネットは使っても最低料金の定額制です。テレビはなくなると言った未来予測学者がいましたが、今のNHKの会長は未来を先取りしてくれているのかも。ありがたいことです。
Posted by tsuguo-kodera at 2014年02月25日 04:58
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