2014年07月21日

人それぞれの役割

先日、室内楽のコンサートに行ってきました。
シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」が演奏されました。
ピアノ五重奏曲というと、通常はヴァイオリン+ヴァイオリン+ヴィオラ+チェロの弦楽四重奏にピアノが加わるという編成ですが、このシューベルトの五重奏曲はヴァイオリンが1本で、その代わりにコントラバスが入った編成です。
トッププレーヤーの集まりで素晴らしい演奏でした。

こういう編成の中で、ピアノは大きい楽器なので、他の弦楽器を蹴散らしてピアノの自己主張という演奏にもなりやすいです。
もちろん、そういう演奏は下手な演奏ですが。

今回のピアノは素晴らしい演奏でした。
自分が伴奏に回る時は徹底的に抑えて、しかも他の人の音が浮き出る音色で融け合っていました。
逆に自分が主役の時は、キラキラと輝く美しい音で弾いていました。

こういったことは、プロではあたりまえのことですが、改めて文章で書きたいほど感動を受けたということです。

ステージの演奏が終わった後は、ロビーでも少し演奏があって、フアンとのより身近な交流がありました。
ピアノの若い女性は、素晴らしく上手く、出るときは出て、控えるときは控えてという、メリハリのある印象的な演奏をしましたが、ロビーで会った時はごく控えめで謙虚な感じの人でした。

音楽の話をしてきましたが、これは私達の生活においても、同じことが言えるのであって、そういう意味では「音楽は人生そのもの」「人生が凝縮されたもの」と言えます。

私は、ほとんど毎日運転しますが、他の車の流れに乗って運転するときは、全体の交通の邪魔にならない運転をしなければなりません。
それは、いつも控えめにすればよいということではなく、時には自分の意思をはっきりし、他の運転手から見た時わかりやすい運転をしなければなりません。
また、店舗などから公道に出るときは、他の車が開けて「どうぞ」と言ってくれますが、今度は自分が譲る番ということもあります。

こうしたことは、自車から他車へ大声で伝えているのではなく、人間同士互いの呼吸で感じ合っていることが多いのです。
初心者が公道に出るときの不安は、運転技術より、こうした呼吸に馴染んでいないことからくるものと思っています。

こう考えてくると、世の中(社会)というのは「大きなアンサンブル」とも言えます。
そして、みんなが互いに気持よく暮らせることが、良いアンサンブルと同じだと言えます。

しかし、時にこのアンサンブルを乱す人もいます。

自分だけのわがままな運転。
騒音を立てた運転。
目立ちたくてしょうがない、センスの悪い装飾。

演奏では、和音からはみ出た音を平気で出している。
自分は遠慮すべきところなのに、大きく邪魔な音を出している等々です。

私はかつて、女子ばかりの高校の吹奏楽部の指導に行っていました。
つまり、女子高生の部活ですが、はじめは新しい指導者に緊張していますが、慣れてきて、この人は怖くないと感じ始めると、賑やかになってきます。

吹奏楽部と言えば、時々、テレビで軍隊のような指導風景が紹介されたりします。
でも、私は軍隊調の練習は大嫌いです。
なぜかと言うと、変に硬い空気を作り、それが音楽に影響するからです。

この先生は優しい(?)と思うのか、ずいぶん遠慮のないことも言いますが、私はそのくらい遠慮なくモノが言える環境の方が、生徒をよく知ることができると思っています。
しかし、けじめのない集団はいけません。
では、けじめはどうしてつくのかというと、時間、時刻を守ること、納得のいく指揮をすることです。
みんな、いいものを作りたいわけですから、それでけじめもつき、まとまっていきます。

でも、一人だけ例外の女子がいました。
これはかつて記事にかいたのですが、部員なのに練習にでてこない生徒がいたのです。
この生徒、コンクールの当日だけ出てきました。
しかも、寝坊して遅刻してきました。

当日の朝、初めてみんなと音を出すわけです。
彼女の気持ちとしては、コンクールだけは出たかったのでしょう。
今まで練習してきたみんなの音に、自分の音が加わってバランスを壊すという配慮は全くないわけです。
こういう時、指導者は決断しなくてはなりません。

「ステージに出てもいいが、音は出すな」

これが私が言い渡した言葉です。

この決断は何かに似ているぞと思いました。

突如、管理者から削除されたブログです。

前々から、調和(アンサンブル)を壊すと、管理者は苦々しく思っていたのでしょう。
そのうち気づくと思っていいたのかも知れません。
しかし、これはダメダと決断したのでしょう。

他に、削除されたのに、自分は迷惑な「音」を出していると気づかなかった人もいるようです。

公道を、我が物顔で走っている暴走族と似たようなブログはいけません。

社会はみな役割を持って、持ちつ持たれつで動いているわけです。
それを乱す人は、そのままでは通りません。

■言葉で言えば指導になる?

私が一番呆れた生活指導は「○○は絶対にしない」と大きな声で叫んでいたものです。
こういう考えの指導は、言葉だけで指導の実体がないものです。

先ほどの女子高の指導では、約束の年数の指導が終わった時、校長が一番感謝してくれたのは「生徒たちの態度がよくなった」ということです。

しかし、私は生活指導はしていません。
よいアンサンブルができてくると、自然に生活態度もよくなるのです。
他人のこと、他人の迷惑を考えないでアンサンブルはできません。

望ましい態度を育成するためには、望ましい態度を口にしても実現できません。
それは身についていないからです。
だから、いかにしたら身につくかを考え、その方法を実行していくのが、教育のプロなのでしょう。


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posted by edlwiss at 23:11 | Comment(3) | TrackBack(0) | 教育研究
この記事へのコメント
 私が定年後好き勝手に非常勤を10年できたのは、最初の上司、富士通元常任顧問、中村洋四郎様のお蔭だと思っています。もちろん大学に受かったのは小中高の担任のお蔭、大学院に合格したのもそうでしょう。会社に勤められたのは大学と大学院の指導教官、わがまま一杯に2社に勤められたのは指導教官3人のお蔭です。
 前置きが長くなりましたが、続けます。やっと数十年前の中村師匠の言葉が良く分かってきたのです。生徒さんや先生に知見を伝えているとき、そうか師匠は今の私と同じようなことを考えていたのかと。
 実は師匠は上司や部下から厳しすぎる人、部下を育成する力に賭けた人と過半数の人が言っていました。その点で褒める人は少数派でした。でも、システム開発は天才でした。私も自分の才能の無さに気が付いて2年で逃げ出したのです。
 私の息子の結婚相手のお母様は上野のピアノ科の卒業生です。大学院を出て大学に勤め、音楽の先生を志望する大学生を教育して早30年以上です。
 彼女は大学院で自分のピアノの才能がないことを悟り、演奏家を諦めて教育者になったそうです。私が聞くと凄い演奏をすると思えるのにです。ネットでも有名な演奏家の難しい曲の伴奏をしている映像があります。
 その演奏家は管理人様の今日の記事のごとく、自分を目立たせられる伴奏者としてお願いしているのかもと私は初めて知りました。若手の、しかも珍しい楽器の、珍しい難曲の伴奏をするなんて、モノ好きだと、私は誤解していたようです。
 自分の天才度は近づいて見ないと分からないのかもしれません。私は全くの凡才です。70にもうすぐなるのに、やっと自分の適性が分かったのです。鞭を間違えて50年近く経ちましたが、やるだけやってみようと思っています。ここまでは前置きです。
 ここから本題の質問です。管理人様はあらゆることに天才度が高いとお見受けしています。何か他の道を新卒で目指していたら天才として世の中に認められたと思ったことはありますか。
 私から見ると、経営学とコンピュータを土台にビジネスを始めていたら、ジョブス以上の天才が日本に生まれていたように思えてしまうのです。
 変な質問ですみません。一言で結構ですのでお答えいただけたら嬉しいです。
Posted by tsuguo-kodera at 2014年07月22日 04:25
私は不器用で、無教養者です。
ただ、4歳ぐらいの時に親のない私を拾って育ててくれた人が、一心に愛情をかけてくれたので、その影響は大きいと思います。

結局、私の人生で最大の先生はその人で、亡くなった今も、私に影響を与え続けています。

貧しい生活でしたが、私はいつも心暖かでした。
その人は教養人で、貧しいながらも、文庫本をたくさん持っていて、徹夜して読んでいることもありました。

私が小学校へ入学した時、一冊完結の厚い百科事典を買ってくれて、それが私の愛読書のようなものでした。

ですから、はじめのページに「アイソトープ」と出ていたのを覚えています。

答えになっていないですかね。
Posted by dolce at 2014年07月22日 23:48
 直接の答えになっていないと思います。(笑)でも、良く分かりました。私と似た環境だったと言えるのかも。同じく不器用で人使いはあまり好きな質ではないのかも。するとお金と出世は無縁になりそうですね。(笑)でも人生に満足でしょうね。
Posted by tsuguo-kodera at 2014年07月23日 04:32
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